東京医科歯科大学インプラント同門会第11回総会・懇親会のご報告

2017年1月21日(日)13時より1号館西・9階/特別講堂にて第11回総会が行われました。今回は春日井教授,並びに同門会会員でもある岩手医大の高藤恭子先生に現在までの臨床経験に基づき今考えるインプラント治療の在り方等についてご講演いただきました。

13時05分 総会
まず岡田先生より,平成25年の同門会設立から現在まで過去5年にわたる活動履歴や会の状況等につき報告がありました。現役員の任期が今年12月までであることから次期役員についての検討も会員間でお願いしたいとのお話もありました。続いて金子先生より会計の中間報告と会費納入のご依頼がありました。総会の最後に昨年ご結婚された長尾先生に同門会よりお祝いをお贈りさせていただきました。

13時35分
春日井昇平先生(東京医科歯科大学インプラント外来教授)ご講演
「インプラント臨床で長期良好な予後を得るための7つの鍵」

春日井先生からは,医科歯科大学インプラント外来における長年の臨床経験を通じて現在,春日井先生が考えるインプラント治療の長期成功において本当に鍵となる7つのポイント(Seven Keys)についてご自身が経験された経過良好・不良を織り交ぜた多様な症例を供覧しながらお話しいただきました。春日井先生が現在考える長期にわたり良好な予後を得るためのSeven Keysは以下の通りです。具体的症例の詳細は個人情報が多数含まれていたことから詳述を控えますが,ご講演を通じて春日井先生の約20年にわたる外来での経験を聴く者が追体験として実感できるとても臨床の経験値が高まったお話でした。

〈Seven keys〉
1 Proper examinations and treatment planning
2 Proper implant placement
3 Presense of keratinized-mucosa
4 Proper load to the prosthsis and the implant
5 Cleanable prosthesis
6 Controlled periodontitis and good oral hygiene
7 Proper maintenance
そして春日井先生が本当に私たちに伝えたかったことは,最後のスライドに込められていました。

『What is the key to keep a good relations with everything in the world ?』
It’s 『 Appreciation !』
(感謝する理由がないのであれば悪いのはあなたです。)

インプラント治療を題材として,人生において本当に大事な鍵を我々会員に気付かせ,授けて下さったとても親心あふれるご講演でした。

14:45~ 高藤恭子先生(岩手医科大学 補綴・インプラント学講座)ご講演
「リカバリー症例とその考察」
高藤先生からは岩手医大に赴任されてから手がけられた症例のうち除去・再埋入を伴うリカバリーを行った症例の検討から得られた知見につきご講演いただきました。岩手医大に赴任してから行った骨移植を伴う症例,埋入即時負荷症例のうち経過不良症例を敢えて詳細に考察し,これらに対するリカバリーの手法とその経過を示すことで,日常の臨床で私たちが陥りやすい失敗を未然に防ぐとともに,どの様な点を重視して再治療の計画を選択・立案すべきかについてご教授くださいました。症例の詳細はその性質上割愛させていただきますが,改めて過去の治療を振り返ることで治療の客観的側面に加えて当時ははっきりとは認識できていなかった主観的な要素が,治療時に感じていた以上に治療結果に影響を与えていたことがご自身の大きな気づきであったことを率直にお話し下さいました。治療結果はシビアなケースになるほど患者さんとの人間関係が結果に与える影響が大きいこと。解剖学的状況の把握と共に患者さんの人間性の理解,術者との良好な関係の構築が如何に重要であるかを深く理解できた意義深いご講演でした。


講演の最後には,4月14(土)・15(日)日に盛岡の岩手県民情報交流センター「アイーナ」で開催される日本デジタル歯科学会のご案内がありました。

http://www.kokuhoken.jp/jadd9/

今回は,岩手医大/近藤先生・鬼頭先生・高藤先生の教室主催でありますので,是非皆さん,学会を口実に盛岡に溢れる名所・名物・名酒を味わいにお出かけください。

16時15分 セインツにて懇親会
ご講演いただいた春日井先生は当日朝ベトナム出張から帰国されたばかりとのことでありましたがお疲れにもかかわらず懇親会にもご参加いただき現地の様子などについてもお話しいただきました。今回は盛岡から高藤先生とともに,近藤先生,鬼頭先生もお越しくださいました。岩手医大の近況の他,普段は中々公言できない赴任以来現在までの道のり等についてもお酒と共に色々と楽しく語っていただきました。テーブルの一つでは「ショートインプラント」って実際のところどう?という話も盛り上がっていました。今では8mmに加え6mmのインプラントも珍しくなく,下顎であれば6mmでフィックスの上部構造が可能であること,今後は4mmのインプラントも発売され,使用が珍しくない時代となるだろうとの中堅の先生の意見があり,50代以上の先生方にはショートインプラントに対する認識も10数年前とは隔世の感があるようで驚かされておりました。他にも各テーブルでは其々に盛り上がっていましたが,今回は参加者全員が同門会会員ということで昔の医局会に一瞬タイムスリップした様な雰囲気の講演会・懇親会となりました。(偶然にも隣の演習室では菅井敏郎先生が,卒後研修会でサイナスリフトの実習講義を行われており実習終了後,ご挨拶にお越しくださいました。)

残念ながら今回お会いできなかった先生方とはまた夏の総会での再会を楽しみに致しております。

次回の同門会総会は,平成30年7月21日(日曜)13時より,「鶴見大学補綴学講座の小久保裕司先生」,「明海大学歯周病科の林丈一郎先生」,「和同会技工センターの澤村昌哉先生」のご講演を予定しております。是非日程をご調整の上,ご参集をよろしくお願いいたします。